インターネットを使って在宅ワークをする方法―「クラウドソーシング」とは?

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在宅の副業探しに便利なクラウドソーシング。そもそもどのようなサービスで、他の求人サイトとはどのような違いがあるのでしょうか。その基本的な特徴や、一般的な求人サイトとの違いを解説します。また、どのような仕事が見つかるのか、できるだけ高い収入を得るにはどうすればよいのかについてもまとめました。

「クラウドソーシング」とは?よくある疑問

クラウドソーシング(Crowdsourcing)とは、インターネットを通じて不特定多数の人材に外注することです。クラウドソーシング用のサイトは、仕事探しの「マッチングサイト」とも呼ばれ、在宅でできる副業を探すために適しています。

クラウドソーシングの特徴について「よくある疑問」の回答を、以下にまとめました。

普通の求人サイトと何が違う?

「indeed」などネット上で仕事を探せる求人サイトはいろいろありますが、クラウドソーシングとの違いは何でしょうか。

主な違いは以下の2点です。

  • 雇用契約ではなく「業務委託契約」が基本
  • サイト上で「契約・報酬のやり取り」ができる

求人サイトではパート・アルバイトなどの「雇用契約」の仕事も募集されていますが、クラウドソーシングで募集されている仕事は基本的に「業務委託契約」です。

業務委託契約とは、請負契約など「業務を外注」する際に結ぶ契約のこと。つまり「下請け業者」として働くことになるため、パート・アルバイトとは仕事上の立場が異なります。

クラウドソーシングでは、契約書のやり取りなどは不要で、サイトを利用することで自動的に業務委託契約が成立する仕組みになっています。

お金の支払いも仲介してくれるため、契約の度に振込先の銀行口座を伝える手間もかかりません。フリマアプリのような感覚で、代金のやり取りができるわけです。

クラウドソーシングのメリット・デメリットについて詳しくはこちら

どのぐらい稼げるの?

クラウドソーシングでは時給制の案件もあり、「時給1,000円以上」の案件も多くあります。

ただし、はっきりと「時給単価制」と書かれておらず、「時給目安」などのあいまいな表現の場合は要注意です。これは例えば「1件あたりの単価が1000円で、慣れれば1時間で終わる仕事だから」というおよその目安として書かれていることがあるからです。

時給ではなく「1件あたりいくら」の計算の場合、作業スピードが早い人ほど時給換算では大きく稼げます。

仕事の数(量)をこなすことはもちろん、一件あたりの報酬の大きさ(単価)が大きいかどうかも重要です。単価相場の高い分野の仕事を狙えば、作業スピードに自信がなくても高収入を得ることも可能です。

クラウドソーシングの報酬目安について詳しくはこちら

どんな種類の仕事があるの?

クラウドソーシングではさまざまな分野の仕事が募集されています。主な分野は以下の通りです。

  • ライティング・記事作成
  • データ入力・簡単タスク
  • デザイン・イラスト制作
  • アプリ・システム開発
  • Webサイト・ホームページ制作
  • 在宅コールセンター

基本的には「オンラインで完結する仕事」が募集されていて、「出勤が必要な仕事」は基本的にありません。

仕事の種類について詳しくはこちら

クラウドソーシングのメリット

一般的な求人サイトを比較したクラウドソーシングのメリットとして、以下の4つが挙げられます。

「仲介」してもらえる手軽さと安心感

クラウドソーシングの大きなメリットは、契約や報酬のやり取りを「仲介」してもらえることです。

普通の求人サイトで募集されている仕事は、働き始めるまでに「契約書の作成」や「銀行口座情報を伝える」など、いろいろな手続きが必要です。

「給料が振り込まれない」などの入金トラブルに対しても、事前の予防策を取ることができません。

その点クラウドソーシングなら、サイト上の簡単な操作だけで契約と報酬のやり取りが完結します。入金トラブルについても、「仮払い」によって防止できる仕組みです。

「仮払い」とは?

「仮払い」とは、仕事を依頼する側が、報酬を「事前にサイト運営者に対して支払っておく」仕組みです。仕事が完了したら、運営者に支払われた仮払いの報酬金が、ワーカーに対して入金されます。この「仮払い」をしなければ業務開始ができない仕組みになっているため、未入金のトラブルが防止できるというわけです。

「スキマ時間」を使って働ける案件が多い

クラウドソーシングで募集されている仕事は「時間の縛りがない」契約が基本です。そのため本業や家事の合間など、自由な時間帯に働くことができます。

雇用ではなく「業務委託」のため、期限までに求められたデータや制作物の納品さえすれば、「どの時間帯に働くか」は限定されないためです。

そのため、クラウドソーシングはスキマ時間を使った副業探しに使われることが多くあります。

「フルリモート・在宅ワーク」を見つけやすい

クラウドソーシングで見つかる仕事は、基本的に「在宅で完結する仕事」です。そのため、出勤が不要な「フルリモート」の仕事を探すためにぴったりのサービスだといえます。

一般的な求人サイトでは、フルリモートの案件が見つかりにくいこともありますが、クラウドソーシングではその心配がありません。

初心者・未経験者の「実績づくり」がしやすい

初心者向け・未経験者歓迎の案件が多いことも、クラウドソーシングの特徴です。

簡単なデータ入力など、特別なスキルがなくてもできる仕事が多く見つかります。

その分、単価が低くなりやすいですが、在宅ワーク初心者が「実績」を作り、次のステップへ進む準備として利用するのにぴったりです。

クラウドソーシングのデメリット・注意点

クラウドソーシングを利用するうえで把握しておくべき注意点やデメリットとして、以下の4つが挙げられます。

確定申告が必要になることもある

副業で利用していても、クラウドソーシングの収入がある程度大きくなると「確定申告」の義務が発生することがあります。

副業の場合の基準は、クラウドソーシングで1年間に得た所得が20万円を超える場合です。詳しい基準や確定申告の方法について詳しくは、以下の記事を参照してください。

クラウドソーシングで副業すると確定申告が必要?基準と、手続きを楽にする方法を紹介

「雇用」ではないことに注意

前述のとおりクラウドソーシングは雇用契約ではなく「業務委託契約」です。そのためパート・アルバイトとは異なる部分がたくさんあることを把握しておく必要があります。

特に大きな違いは、パート・アルバイトは「労働法」の対象ですが、業務委託契約は基本的に労働法の対象外です。労働法の対象なら、解雇するために一定の条件を満たす必要があるなど、さまざまな保護を受けられますが、業務委託契約の場合は基本的に、そのような保護は受けられません。

例えば相手の予算の都合で「急きょ、今回で依頼をストップします」ということは、パート・アルバイトなら不当解雇のような状況ですが、業務委託では普通のことです。

クラウドソーシングでの仕事は、労働者ではなく「サービスを提供する業者」としての意識で取り組む必要があります。継続して仕事をもらうには、お客さんにリピーターになってもらうような工夫が必要です。

「依頼主の質」をよく見極める必要がある

クラウドソーシングで見つかる「依頼主」はピンキリです。

比較的安く仕事を依頼できるため、個人でも気軽に仕事を掲載できます。「仕事を依頼するのが初めて」の人も多くいることに注意が必要です。

フリマアプリなどと同じように、依頼主の「取引実績」や「評価」などをよく確認して、質の高いクライアントかどうかを見極めてから応募しましょう。

簡単な仕事は単価が低くなりやすい

クラウドソーシングでは誰でもできるような「簡単な仕事」が多く見つかりますが、基本的に「簡単な仕事は単価も低い」ということは意識しておく必要があります。

前述のとおり「未経験者歓迎」「初心者OK」の仕事は、実績づくりには向いていますが、その仕事をずっと続けていても、高収入を得るのは難しいでしょう。

簡単な仕事で、ある程度の実績ができたら、今度は「経験者求む」のような上級者向けの仕事へのステップアップを目指していくことが重要です。

クラウドソーシングでの収入目安

日本労働組合総連合会の実施した「クラウド・ワーカー意識調査」によると、SNSを含むクラウドソーシングなどのマッチングサイトで働く人の月収は、「平均 45,650 円」。その中でも副業で利用している人の月収は「平均30,249円」です。

平均で見ると低い金額ですが、同調査によると「30万円を超える月収」を得ている人が「3.2%」と、少数ながら存在していることも分かります。

できるだけ単価の高いジャンルの仕事を狙うことで、高収入を得ることは可能です。収入アップのコツについてはこちら

クラウドソーシングで見つかる仕事の種類

クラウドソーシングでは、誰でもできる簡単な仕事から、特殊なスキルが求められるものまで、さまざまな仕事が見つかります。

よくある仕事の種類と、それぞれの報酬目安、未経験での始めやすさなどについて以下にまとめました。

ライティング・記事制作

未経験からの始めやすさ
(5.0)
単価の高さ
(3.0)
募集案件の多さ
(5.0)
単価相場
  • 初心者:1文字0.5~1.0円
  • 経験者:1文字1.0~3.0円
  • 専門家:1文字3.0~5.0円

ライティングは、Webサイトやブログ用の記事などを執筆する仕事です。

指定された「記事タイトル」や「見出し」に沿って文章を作成するだけの簡単な仕事も多くあり、基本的な文章力さえあれば未経験でも始めやすいといえます。

1文字あたり「0.5~1.0円」などの初心者向けの仕事で大きく稼ぐことは難しいですが、1文字2円以上の仕事を継続して受注できれば、副業でも月収10万円を超えることは難しくありません。

FPや税理士など専門家として執筆する記事なら1文字5円などの高単価な案件もあります。詳しくは以下の記事を参照。

クラウドソーシングでWebライターの仕事を探すコツ・選び方

データ入力・簡単タスク

未経験からの始めやすさ
(5.0)
単価の高さ
(1.0)
募集案件の多さ
(5.0)
単価相場
  • データ入力:1件あたり10~100円
  • アンケート回答:1件あたり50円~200円

データ入力の仕事は、エクセルに決められたデータを入力するなど単純作業の仕事です。クラウドソーシングでは「事務・カンタン作業」「タスク」などのカテゴリに分類されています。

例えば「音声の文字起こし」や、簡単な「アンケートの回答」、自宅でできる「内職作業」などです。

単価相場は低く、お小遣い程度の収入しか得られませんが、特別なスキルがない人でも始められます。

イラスト・ロゴ制作

未経験からの始めやすさ
(3.0)
単価の高さ
(3.0)
募集案件の多さ
(5.0)
単価相場
  • 1点あたり3万~5万円

イラストを描く仕事も、クラウドソーシングでよく募集されています。

例えばLINEスタンプや、ゲーム用のイラスト、Webサイトやお店のロゴを作るなどの仕事です。

他の仕事と同じように契約してから作業に入る「プロジェクト形式」の他に、多数の応募者からデザイン案を集め、その中から選ばれると契約成立になる「コンペ形式」もあります。

実績よりも「作品」で勝負できるため、仕事としてイラストを描いたことがなくても始めやすいジャンルです。

在宅コールセンター

未経験からの始めやすさ
(3.0)
単価の高さ
(3.0)
募集案件の多さ
(1.0)
単価相場
  • 成果報酬:1件あたり40~3,000円
  • 時給:1,000円ほど

在宅でできるコールセンターの業務も、クラウドソーシングで募集されていることがあります。

特別な電話機や、固定電話の番号などは不要で、PCとヘッドセット、インターネット環境さえあれば始められます。企業の電話番号で通話するので、通常は自分の携帯電話番号を使って仕事をすることはありません。

募集件数は少な目ですが、「在宅 コールセンター」などのキーワードで検索してみましょう。

コールシェア」など、在宅コールセンター専用のクラウドソーシングもあります。詳しくは以下の記事を参照してください。

在宅コールセンター・電話サポートの副業。始め方や注意点を徹底解説

プログラミング系

未経験からの始めやすさ
(1.0)
単価の高さ
(5.0)
募集案件の多さ
(5.0)
単価相場
  • 1件あたり10万~100万円
  • 時給:3,000~7,000円

スマホアプリの開発や、PC用システム開発、Webサイト開発など「プログラミング系」の仕事も、クラウドソーシングに多く掲載されています。

相場は高く、1件で10万円を超えるケースも珍しくありません。ただし月収ではなく1つのプログラムを開発して納品した報酬として受け取る金額です。そのため「開発に何カ月かかるか」によって、月収換算の収入が変わってきます。

開発だけでなく「保守・運用」も担当する場合は、時給計算の場合もあります。

経験者でないと難しい分野ですが、「個人的に作ったアプリやサイト」などを実績として提示できれば、仕事としてのプログラミングが未経験でも始めることは十分可能です。

クラウドソーシングで収入アップを目指すコツ

クラウドソーシングは工夫して利用しないと報酬が安くなりがちです。収入アップを目指すための、2つのコツを解説します。

単価の高いジャンルを狙う

クラウドソーシングは、仕事のジャンルによって単価が大きく異なります。

特に単価の高い案件はプログラミングなどの「IT・Web系」です。前述の「クラウド・ワーカー意識調査」によると、単価が高い分野として「システム設計・開発、プログラミング」や「Webサイト制作・Webデザイン」が挙がっています。

IT・Web系には、直接プログラミングをしなくても済む「Webデザイン」や「WordPress制作」などもあり、仕事の種類や必要なスキルはさまざまです。

特にニーズの高い「Web系のプログラミング言語」を扱うスキルがあると、クラウドソーシングでの収入を高めやすいといえます。

Web系のプログラミング言語とは、「HTML/CSS」「JavaScript」「Java」「PHP」「Python」「Ruby」などです。

他のサービスも併用する

IT・Web系以外でも高収入を得るには、クラウドソーシング以外も併用することが重要です。

インターネットを使って仕事をするために利用できる「クラウドソーシング以外のサービス」として、以下の2つがあります。

  • スキルシェア
  • エージェント

スキルシェアとは「ココナラ」などに代表される「仕事のフリマサイト」のこと。「〇〇円でイラストを描きます」など、自分のできる仕事を出品するという形で収入を得られるサービスです。クラウドソーシングによっては、スキルシェアの機能が付属していることもあるので、チェックしてみましょう。

エージェントとは、仕事(人材)の仲介サービスのこと。仕事を探している人が希望する条件を提示すると、当てはまる求人情報などを紹介してくれるサービスです。フリーランス向けや転職向け、副業向けなど、さまざまなエージェントがあります。

クラウドソーシングだけでなく、これらのサービスも併用することで、単価の高い案件に出会えるチャンスが増えます。

主なクラウドソーシングサイト

クラウドソーシングの中でも特に有名な2サイトを紹介します。

Lancers(ランサーズ)

ランサーズは、さまざまな種類の仕事が掲載されている総合型のクラウドソーシングサイト。

簡単なデータ入力の仕事から、経験者向けのプログラミング案件まで、さまざまな仕事が掲載されています。

「パッケージ」というスキルシェアの機能もあり、得意な仕事の出品も可能です。

CrowdWorks(クラウドワークス)

クラウドワークスも総合型のクラウドソーシング大手です。ランサーズと同じように、さまざまなジャンルの仕事がたくさん掲載されています。使い方や機能はほぼ同じです。

両方のサイトで同じ仕事が募集されていることもありますが、片方にしか載っていない仕事も多くあります。希望条件に合った仕事を見つけるために、両方のサイトをチェックしてみてもよいでしょう。

まとめ

クラウドソーシングの大きな特徴は、「契約・報酬のやり取りを仲介してもらえる」という点です。フリマアプリのように、依頼主と個人情報や銀行口座情報のやり取りをすることなく報酬を受け取ることができます。「在宅の仕事を見つけやすい」という点も魅力です。特徴を把握してうまく活用すれば、在宅フリーランスや副業在宅ワーカーの収入アップに大いに役立ってくれます。