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eBay や Amazonなどで輸出をしている場合、確定申告をすることで還付を受けられます。輸出の確定申告はちょっと特殊なので、最初のうちは、いろいろと悩むかもしれません。この記事では、個人事業主として輸出ビジネスをしている場合の、確定申告の手順をまとめました。
2種類ある!輸出の確定申告
eBay や Amazon などで個人輸出をした場合、以下の2種類の確定申告をすることになります。
所得税・住民税の確定申告
一般的に確定申告というと、この「所得税と住民税の確定申告」ですね。輸出による所得だけじゃなく、他の収入についてもこれに含めて申告します。
給与所得、雑所得、事業所得など、いろいろな所得を一括にまとめて、所得税の金額を計算するための申告です。輸出で得た所得については、通常「事業所得」として申告します。
消費税の確定申告
消費税の還付を受けるためには、「消費税の確定申告」も必要です。
売上として「受け取った消費税の合計」と、仕入れなどの際に「支払った消費税」の合計を計算して、最終的に納めるべき消費税の金額を計算するための申告です。輸出の場合は、納めるべき消費税が「マイナス」になるので、還付が受けられます。
確定申告の事前準備
確定申告の書類を作るための、事前準備がいろいろあります。確定申告で提出する書類以外にも、作って保管しておかなければならない書類があるので、確認しておきましょう。
会計ソフトでデータをまとめる
まずは、売上や経費などの金額をまとめて、申告する数字を正しく計算しなければなりません。
所得税と住民税、そして消費税の計算は結構ややこしいので、手で計算するのは大変な苦労です。税理士さんにお願いするのもいいですが、自分でやるなら「会計ソフト」を使うことをおすすめします。
特に eBay や Amazon での輸出なら、かなりの部分を自動化できるので、入力したり計算したりする手間がほとんどなくなります。確定申告の書類作成もほとんど自動で完了するので楽です。
輸出ビジネスでおすすめの会計については、以下の記事にまとめています。
ebay や Amazon での輸出におすすめの会計ソフト比較保存すべき書類をまとめておく
確定申告で「提出」すべき書類とは別に、「保存」すべき書類をまとめておきましょう。税務調査などの際に見せるための書類で、主に以下のものを7年間は保存しておく必要があります。
- 領収書・レシート・通帳
- 輸出証明書
- 帳簿
「領収書・レシート」は、商品の仕入れ先や、発送業者などからもらったものですね。ネット通販で購入した物なら、取引明細などです。
銀行の「通帳」など、取引の明細がわかるものも保管する必要があります。とにかく後述する「帳簿」の内容を証明するものはすべて保管しておくということですね。
「輸出証明書」とは、20万円以上の価格のものを輸出したときに必要とされる書類で、発送するときに必ず作成しているはずです。発送を転送業者に頼んだ場合は、業者が保管しているので、郵送してもらいましょう。
「帳簿」とは、主に「仕訳帳」と「総勘定元帳」のことです。これも会計ソフトを使っていれば、かなり簡単に作れます。
上記の保存すべき書類は、紙ではなくPDFなど電子データで保存してもOKですが、一定のルールがあります。保存ルールについては以下の記事を参照。
ネットショップ運営者の場合、電子帳簿保存法に合わせて何をすべき?輸出の「所得税・住民税」確定申告のやり方
輸出ビジネスで得た所得に関する、「所得税・住民税」の確定申告の手順についてまとめておきます。「消費税」の確定申告とは別です。消費税の確定申告については後述しています。
申告の前にやっておく手続き
輸出ビジネスの確定申告をする前に、やっておいた方がいい手続きは、以下の2つです。
開業届
「開業届」を提出していないと、次の項目で説明する「青色申告」ができないため、いろいろなデメリットが発生します。また輸出ビジネスは「消費税の還付」を受けることがかなり重要ですが、そのためにも開業届を出さないとダメです。
開業届は1枚の書類に必要事項を記入して提出するだけなので、とても簡単です。税務署に行けば書類をもらえるので、その場で記入して提出できます。期限は「事業開始等の日から1か月以内」です。
とはいえ「事業開始」といわれても、いつスタートしたか、あいまいなことが多いと思います。そのため、これは「提出期限」というより、「開業日として設定できるのは、提出日から1か月前まで」という意味に理解した方がいいでしょう。
「開業日」は、「過去にかかった経費をどこまで計上できるか」という問題に関係してくるので、重要な日付です。
青色申告申請
確定申告は「青色申告」と「白色申告」の2種類がありますが、何も手続きをしないと自動的に「白色申告」しかできません。
「青色申告」の方がレベルの高い申告で、白色申告にはない「55万円の特別控除」(※)が受けられますから、税金を減らす効果が期待できます。
青色申告をするには「所得税の青色申告承認申請書」を事前に提出している必要があります。
提出期限は、青色申告の対象にしたい年度(確定申告書を提出する日の前年)の3月15日が基本です。つまり、2022年に提出する確定申告から青色にしたいなら、2021年の3月15日が提出期限です。
ただし、その年の1月16日以降に開業したという場合は、開業日から2カ月以内ならOKという特例があります。例えば、2021年の1月16日以降に開業したなら、開業日から2カ月以内に提出すれば、2022年に提出する申告書から青色にできるわけです。
※ e-Tax(電子申告)で青色申告をすると、特別控除の金額がさらに大きくなり「65万円」になります。
「事業所得」として申告する
輸出ビジネスで得た収入は、「給与所得」や「雑所得」ではなく「事業所得」として申告するのが一般的です。
そうすることで、消費税の還付を受けられるなどのメリットがあります。ただし「事業」だと税務署にみなしてもらえるほど、十分な規模で行っている必要があるという点には注意が必要です。
「事業所得」を計算するには、売上から必要経費などを差し引く必要がありますから、決算書や収支内訳書を作って計算しないと「所得」がいくらか分かりません。
これも普段から会計ソフトを使って集計していれば、自動計算してくれるので便利です。
確定申告で提出する書類
事業所得がある場合に、所得税・住民税の確定申告で提出する書類は以下のとおりです。
- 確定申告書B(第一表・第二表)
- 添付書類台紙
- (青色申告の場合)所得税青色申告決算書
- (白色申告の場合)収支内訳書
まず個人事業主が使うのは「確定申告書B」ですね。
税務署や確定申告コーナーで確定申告書Bをもらってくると「添付書類台紙」が付いてくるので、マイナンバーカードのコピーなどの「本人確認書類」や、「控除関係書類」などを貼り付けて提出します。
青色申告なら「所得税青色申告決算書」という、貸借対照表などを含む書類が必要です。白色申告の場合は、もっと簡易的な「収支内訳書」だけで済みます。
この決算書や収支内訳書を、初心者が作るのは難しいので、会計ソフトを利用するのがおすすめです。会計ソフトなら、自動計算で簡単に作成できます。
輸出の「消費税」確定申告のやり方
輸出ビジネスをやっている場合は、所得税・住民税とは別に「消費税」の確定申告をすることで、還付を受けられます。手順は以下のとおりです。
申告の前にやっておく手続き
消費税の還付を受けるためには、まず消費税課税事業者になる必要があります。
開業してから最初のうちは、何もしないと消費税課税事業者ではありません。また、年間の課税売上高が1000万円以上にいかないような会社は、消費税課税事業者になりません。
でも「消費税課税事業者選択届出書」という書類を出すことで、すぐに消費税課税事業者になれます。詳しくは以下の記事を参照してください。
eBay や Amazon など個人輸出の消費税還付の手順、必要な書類について消費税の確定申告で提出する書類
- 課税期間分の消費税および地方消費税の確定申告書
- 付表2 課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算書
- 消費税の還付申告に関する明細書
最初の2つの書類「申告書」と「付表2」は、消費税の確定申告書をもらってくるとセットになって入っていますが、3つめの「消費税の還付申告に関する明細書」は別です。書類はすべて国税庁のページからダウンロードできます。
「申告書」と「付表2」は、消費税の申告に対応している会計ソフトを使えば、自動的に作成できるので、やはり会計ソフトに頼るのがおすすめです。消費税の申告に対応している会計ソフトといえば「freee」ですね。
「申告書」と「付表2」を会計ソフトで自動で作って印刷し、あとは「消費税の還付申告に関する明細書」をネットからダウンロードして記入するだけで書類は完成です。
輸出以外の利益もあるなら要注意
輸出以外の所得がある場合は注意してください。その分の「消費税」を払う必要があるかもしれません。つまりその分、消費税の還付額を少なくしないと、納税不足になってしまいます。
雇用契約による「給与所得」として申告できるものなら消費税がかかりませんが、「クラウドソーシング」で報酬をもらったとか、「アフィリエイト収入」がある、「国内へ販売」したものがあるなどの場合は、その分の消費税を支払う必要があります。
どんな小さなものでも還付額に影響するので、もれなく計上して申告しましょう。
個人輸出の確定申告に税理士は必要?
多くの会社が、確定申告の季節になると税理士に助けてもらっていますね。では eBay や Amazon などを使った個人輸出ビジネスの確定申告について、税理士は必要なのでしょうか。
間違った申告をするリスク回避
まず挙げられるのが、間違った申告をすることによる損失を回避するためです。
eBay や Amazon などを使った輸出は、小規模でも帳簿の項目が多くなります。消費税の確定申告もあり、難易度が高い作業です。
間違った申告をすると、所得税や消費税の金額が変わってしまいます。そうなると還付金額が減って損をしたり、逆に還付額が増えてしまって後から税務署に指摘されたりする可能性もあるのです。
間違った申告をしないための安心材料として、税理士が役立つわけですね。
確定申告にかける時間を減らせる
税理士は「時間の節約」のために必要ともいえます。
確定申告のための帳簿作成や、申告書類の準備にはかなりの時間がかかります。会計ソフトで一部が自動化できるとはいえ、個人輸出は仕訳項目が多くなりやすいビジネスなので、かなりの時間がかかることは避けられないでしょう。
本来の仕事ではない業務を外注化し、時間を買い取るという意味で、税理士に依頼する人が多いわけです。
節税・融資・法人化など、いろいろ助かる
税理士は他にも、いろいろな面で役立ってくれる存在です。
さまざまな「節税」の知識があり、合法的に税金を減らす方法を、いろいろと教えてくれます。
「融資」のサポートや「法人化」の手助けなど、いろいろな面で、担当の税理士がいると便利です。ビジネスの良いパートナーという感じですね。
個人輸出が得意な税理士の探し方
税理士にお願いしても、eBay や Amazon のことをよく知らない人だと困りますよね。お願いするなら個人輸出に詳しい人にしたいものです。
「税理士ドットコム」などの紹介サイトを使うと、自分のビジネスにマッチした税理士を探せます。
紹介サイトは、税理士から仲介手数料をもらって利益を出しているので、税理士を探している側は完全無料で利用できるのが普通です。
「どうやって探したらいいのか」という基本からサポートしてくれて、何度でも無料で相談できます。
税理士の探し方について、詳しくは以下の記事も参照してください。
Amazon・eBay 輸出にくわしい税理士の探し方。税理士は必要?まとめ
個人事業主として輸出ビジネスをした場合に必要な確定申告は、「所得税・住民税」と「消費税」の2種類です。大まかな手順は以下のとおりです。
- 保存すべき書類をまとめる
- 会計ソフトで帳簿をつける
- 確定申告書を自動出力する
- 本人確認書類と控除関係の書類を添付する
- 「消費税の還付申告に関する明細書」を書く